いえ、むしろワークスペースにシンボルパネルは表示されているでしょうか…?
シンボルは能力の割にあまり大事にされていないんじゃないかな、と常々気になっていました。
シンボルの利点でよく知られているのは以下の二つかと思います。
- 「繰り返し同じオブジェクトを使う時にデータが軽くすむ」
- 「シンボルを更新するとドキュメント上の全ての
同一シンボルシンボルインスタンスにも反映される」
どちらも魅力的な利点ではあるのですが、その割にシンボルは利用されていない!ような気がしています。
シンボルと言えば一番に思い浮かぶのが、あのバーッと同じオブジェクトが増えるやつ、シンボルスプレーツールだと思います。
多くの参考書籍などでシンボルとセットでシンボルスプレーツールの紹介がされているためか、シンボルスプレーツール「専用」なイメージがなんとなくしています。
大量に同じオブジェクトを使う場合はシンボルを使いましょう、といった紹介も多いですね。
それは正しいのですが、そういった使い方をしない私には長らくシンボルの使いどころを見つけられずにいました。
ですが、1度、シンボル系のツールと切り離してシンボル自体の機能をおさらいみると、実はとても便利で優秀な機能であることに気付きました。
今回はシンボル系ツールを除いた、シンボルの特徴・利点について私なりに試した結果をご紹介します。
現在進行形で調べているので時々更新するかもしれないです。
現在進行形で調べているので時々更新するかもしれないです。
シンボルの特徴・使い方
まずはおさらい。
シンボルの基本的な使い方、特徴です。
シンボルの登録
- シンボルはオブジェクトをシンボルパネルにドロップすることで新規登録できる。
シンボルの使用方法
- シンボルスプレーツールなどのシンボル系ツールを使用する。
- シンボルパレットから任意のシンボルをドキュメント上へドロップしてコピーしつつ使用する。
シンボル自体の編集・上書き
- 編集はドキュメント上のシンボルをダブルクリックしてシンボルの編集モードへ入るか、シンボルを編集ボタンより行う。
- シンボルは上書きすることができ、シンボルパネルに表示されているシンボル(A)上に別オブジェクト(B)を[alt]を押しつつドロップすることで可能。
- 編集もしくは上書き後すぐに、ドキュメント上に配置されている
シンボルシンボルインスタンスは更新される。
シンボルの置き換え
- 配置済みの
シンボルシンボルインスタンスは別のシンボルへ置き換えることができる。 - 複数の異なる
シンボルシンボルインスタンスを一度に同一シンボルへ置き換えることも可能。 - 通常オブジェクトを登録済みのシンボルへ置き換えることはできない。一度シンボル登録してから置き換えることになる。
シンボルを置き換えるときはオブジェクトの中央が起点となる。新規登録時にダイアログで指定する基準点はFlashに使用されるものなのでIllustratorでは影響しない。中央を起点とするだけなので、大きさの異なるシンボルで置き換えると大きさにズレが生じる。(CS4時点)
CS5以降、シンボル置き換え時に基準点からの置き換えになっているようです。ここでは触れていないですが、CS5以降では9スライスもイラストレーター上で有効になっています。
シンボルへの変形・効果
- シンボルに対して各種変形効果を適用することができる。
- シンボルに対してアピアランス効果を適用することができる。
注意点
- シンボルを上書きすると、同一のシンボルを使用しているところは全て上書きされてしまいます。これを防ぐために、シンボルの置き換えを適宜使用していくことが大切です。
- シンボル内テキストは通常オブジェクトのようにアウトラインが適用されません。[分割・拡張]でアウトライン化するか、シンボルの元データをアウトライン化していまう必要があります。
グラフィックスタイルとの違い
グラフィックスタイルはアピアランス属性、
シンボルはオブジェクトそのもの
- グラフィックスタイルが効果などのアピアランス属性を登録するのに対し、シンボルはパス、テキストなどの様々な要素(後述)を含んだ、オブジェクトそのものをシンボルとして登録することができる。
- そのため、グラフィックスタイルは適用してもオブジェクトそのものへは影響を与えないが、シンボルは全く異なるオブジェクトと置き換えることができる。
- シンボル登録するとアピアランスパネルには「シンボル」と表示され、アピアランスパネルからでは編集できない。
- シンボルパネル上でもオブジェクトの形状が確認でき、直接ドロップして取り出すことができる。
- 配置時の
シンボルシンボルインスタンスのサイズは登録時のサイズと同じになる。
- 配置された
シンボルシンボルインスタンス(A)に縮小を加えてから別のシンボル(B)に置き換えた場合、Aの縮小率と同じ比率だけBも登録時のサイズより縮小されたサイズで置き換えされている(私調べ)。
アピアランス属性は、基本構造を変更せずにオブジェクトの外観にのみ作用するプロパティです。 アピアランス属性には、塗り、線、透明度および効果があります。 オブジェクトにアピアランス属性を適用した後、その属性を編集または削除した場合でも、基本となるオブジェクトや、そのオブジェクトに適用されている他の属性は変更されません。(https://helpx.adobe.com/jp/illustrator/using/appearance-attributes.html)
シンボルの利点
データが軽くすむ
- シンボルは一つのシンボルデータを繰り返して使用しているため、データ量が小さくすむ。
何でも登録できる
- ほとんど何でもシンボルには登録できます。私が試した中でできなかったのはリンク画像だけでした。飲み込みすぎて心配になるほど…これは本当にすごい!
変更に強い
- シンボルを更新すると全ての同一
シンボルシンボルインスタンスにも反映されるため、一気にオブジェクトの置き換えができる - シンボル内ではあらゆる属性(後述)が生きており、後からの編集や変更が可能となっている。
- グラフィックスタイルと連携することができ、変形効果を適用後であってもシンボル内のグラフィックスタイルとの連携は保たれる。連携ができると、グラフィックスタイルを使用しているオブジェクトをシンボル登録した時に、グラフィックスタイルを更新することでシンボルのアピアランス属性も更新することができる(入れ子を3重に使用するなど、例外的にできない場合もあり)
- グラフィックスタイルを含む
シンボルシンボルインスタンスを他のドキュメントへ持ち込むと、そのドキュメントに自動で同一のグラフィックスタイルが追加される。グラデーション・ブラシ・文字スタイルなどでも同様に追加される。 - 上書きや編集での更新に対し、置き換えは選択したシンボルのみに適用できる。これは、ドキュメントに配置済みの複数の同一シンボルの中で、選択した一部だけを変更できる。
- シンボルに対してアピアランス属性を適用している状態で他のシンボルに置き換えると、同じアピアランス効果を受け継ぐ。
- シンボルは、メインメニューの[選択]より、[シンボルインスタンス]を選ぶことで同一のシンボルを容易に選択することができる。(エンベロープでの変形をかけたものなど、例外的にできない場合もあり)
ライブラリとして使うことができる
- シンボルパネルに表示されるシンボルはオブジェクトの見た目そのままなのでわかりやすい。
- 汎用的なオブジェクトを登録し、シンボルパネルを名前を付けて保存しておけば、随時必要な時にシンボルライブラリより呼び出して容易に利用することができる。
- シンボルへシンボルを入れ子に登録できるので、段階的にシンボルを解除してオブジェクトの一部だけを変更するなどが可能。
アピアランス分割ではシンボル内は分割されない
- シンボルにアピアランス属性を適用した状態でアピアランス分割すると、追加したアピアランス属性部分のみが分割され、シンボル内は生きている。これにより、変形効果でコピーした時に、アピアランス属性を壊さずに意図した位置にオブジェクトを増やすことができる。
これはシンボルスプレーツールと同じ挙動です。
文字だけではよくわからない!という方へ
相関図はこんな感じです。
更にわけがわからない??
どうでしょうか。
知ってほしいのは、シンボル内では元になったオブジェクトのいろんな属性は生きている、ということです。属性が生きたままなので編集も加えられるし、他の機能との連携もできます。
そして、シンボルはシンボルで完結する機能ではなく、後からも加工ができるということも知っておいてください。
本当はグラフィックスタイルとシンボルの間にオブジェクトを挟むべきなんですが、複雑になってしまうので外しました。
アピアランス属性を登録したグラフィックスタイルを使用したオブジェクトをシンボルへ登録、ということももちろん可能です。
ラスター画像のシンボル化は埋め込み画像のみ可能です。
これはパターンのときと同じですね。
この記事もシンボルを利用しているのでよろしければ一緒にご覧ください。
アピアランスと一緒に使えば最強だと思います。
シンボルは決してシンボル系ツール専用の機能ではありません。
ぜひぜひ皆さんのワークスペースにも加えてあげてください!
まだまだ調べ中なので、間違いや他の要素などありましたら教えてくださると嬉しいです。
利点一つ一つについても詳しい解説を入れたいのですが、今回は長くなりすぎたのでまた今度にします。
ではでは、お読みいただいてありがとうございました。
7/30
シンボルとシンボルインスタンスを混同して使用していたので修正しました。
シンボル登録時のダイアログの説明が間違っていたので修正しました。
アピアランス属性を登録したグラフィックスタイルを使用したオブジェクトをシンボルへ登録、ということももちろん可能です。
ラスター画像のシンボル化は埋め込み画像のみ可能です。
これはパターンのときと同じですね。
この記事もシンボルを利用しているのでよろしければ一緒にご覧ください。
まとめ
長々と書きましたが、シンボルの特に素晴らしい!ところは、何でも登録できて、あらゆる機能と連携、そして再編集できるところです。アピアランスと一緒に使えば最強だと思います。
シンボルは決してシンボル系ツール専用の機能ではありません。
ぜひぜひ皆さんのワークスペースにも加えてあげてください!
まだまだ調べ中なので、間違いや他の要素などありましたら教えてくださると嬉しいです。
利点一つ一つについても詳しい解説を入れたいのですが、今回は長くなりすぎたのでまた今度にします。
ではでは、お読みいただいてありがとうございました。
追記
7/30
シンボルとシンボルインスタンスを混同して使用していたので修正しました。
シンボル登録時のダイアログの説明が間違っていたので修正しました。
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